フロマGのチーズときどき食文化

エキストラ・ヴァージン・オリーブ油って何?

2012年10月15日掲載

普段なんとなく使っている物でも中身がよく分かっていないっていうこと良くありますね。このエキストラ・ヴァージン・オリーブ油もその一つでないでしょうか。

広大なスペインのオリーブ畑

オリーブ油はどのようにして採るかといえば、まずよく熟した実を採取し、洗ってすぐに実を破砕します。伝統的な製法では実を石臼で種ごとつぶしてペースト状にします。これを搾って果肉や種を除き、タンクに入れてしばらく置くと、油分が分離して浮き上がってきます。これをすくい取ったものがヴァージン・オイルです。現在は遠心分離機が使われる事が多いようですが、加熱したり化学的な処理などは一切していません。ヴァージン・オイルには僅かに果肉なども混ざっているので緑がかった色をしています。搾ったままで食用にできるのはオリーブ油だけで、他の植物油は複雑な方法で精製しないと食用にはならないのです。

バラエティー豊かなスペインのオリーブ油

オリーブ油は製法が単純なだけに、オリーブの品種や産地の特徴がそのまま油の風味に反映されます。先ごろ開催されたスペインフェアをのぞいてみると、世界一のオリーブの産地だけあって、様々なオリーブ油が出展されていました。いくつかを試食してみましたが、フルーティなもの、スパイシーなもの、辛いものなど風味にはかなり違いがありそれぞれ個性を主張していました。スペインには300種ものオリーブがあるそうです。

イタリアのエキストラ・ヴァージンージン油

日本でも健康に良い油として年々オリーブ油の消費は増えているようですが、何事も高級品がお好みの日本人。ここ十数年スーパーなどのオリーブ油の棚を見てきましたが、今や最高級のエキストラ・ヴァージンが大半で、精製した安価なピュア・オリーブ油の方は少しか並んでいない! かく言う筆者もエキストラ・ヴァージンを使っていますが。

そこでこの、エキストラ・ヴァージンとは何かといえば、これは基準があって、油に含まれる酸度によってランクが決められています。EUが定める統一された基準があるようですが、エキストラ・ヴァージン・オイルは酸度が1%以下、極上ヴァージン・オイルは1.5%以下、高級ヴァージン・オイルは3%以下という風になっていますが、ただこれは含まれる酸の量の規定であって、味や風味を保証するものではありません。日本人はそれほどたくさん使わないので、最高級のエキストラ・ヴァージンを買う人が多いのでしょう。

オリーブ油をたっぷり使うトルコのジャジュク

オリーブ油を多く使う国といえばスペインやイタリアですがギリシャもオリーブの消費大国です。またオリーブ発祥の地といわれるアナトリア(現トルコ)でもオリーブ油はたくさん使われています。トルコにはジャジュクというきゅうりとヨーグルトのサラダがありますが、エーッツというほどオリーブ油をかけます。オリーブ油はサラダのソースには欠かせませんが、スペインからフランス、イタリアの地中海沿岸にアイオリというソースがありますが、これはいわばニンニクとオリーブ油で作るマヨネーズといえばいいでしょう。南仏の料理にしばしば登場しますが、ブイヤベースには欠かせないソースです。最近日本でも知られるようになった、北イタリアのバーニャ・カウダという料理のソースもオリーブ油とニンニク、それにアンチョヴィーが入ります。南フランスにはオリーブ油に漬けた山羊のチーズがありますね。