チーズ留学生からの便り

 

チーズの道へ

 

 脱都会で田舎での農業を始めようとか、または牛乳消費低下によるチーズ加工への需要だったりと、日本でのチーズ工房は増加し続けているようです。でも、チーズ製造を海外で学んで、となると日本からではほぼこちらの情報は手にはいらないし、なかなか最初の一歩を踏み出せないですよね。実は私もその一人でした。確かに講義を理解するためにある程度のフランス語を勉強をしなければいけないですが、こちらの大学などの学費は無料なのでかなり負担減になりますし、住宅補助金も受けることができます。近年のユーロ高には私もお手上げですが…。では、こちらの学校紹介を少し。

 フランスには6校のENIL(国立乳産業学校)があり、それぞれが基本的に次にあげる3つのコースがあります。CSコース、BTSコース、LPコース。大きな違いは各学校がその地域特有のチーズの製造を教えていることですね。私の通う学校ではサヴォワ地域のルブォション(日本では、ルブロション)やアボンドンス(アボンダンス)を学んでいて、ノルマンディの学校ではカマンベールやポン・レヴェック、ジュラ地方の学校だとコンテやモルビエです。

 各学校が独自に企画する講義CSコースは、一度社会に出てその後転職を求めている人やすでにチーズ工房で働いている人が技術向上の為に学ぶ社会人向けコースで、研修が大半を占める1年間の実践コースです。フランスでのチーズ工場で実践を積みたい方には短期間で3〜4社での研修を行なえるので、都合がいいですね。ただ、学費は実費負担ですが。

 BTSコースは現在私が通っている2年間コースで、CSコースと比べて各学科=微生物学、化学、生化学、乳工学を基礎からみっちり学べます。研修は基本的に1社だけにとどまるので少し残念ですが、研修先から与えられたテーマをもとにレポートを仕上げるので、やりがいがありますね。試験合格後には国家認定の高等技術者資格を得られます。

 

 LPコース(1年間)はBTS取得後、より踏み込んだ内容に触れる為、開発や品質向上に必要な技術を習得させ、チーズのエキスパート養成が目的とのこと。どのコースも入学は書類審査だけなので日本からも願書を出せて、入学通知を受けてからフランスに留学という事もできます。残念なことに熟成士コースなるものはなく、職場で学んでいくもののようです。たとえば、製造コースでチーズの基礎知識を得て熟成士になるのもわるくないでしょうね。

 日本の現状だと小規模工房は確実に増えているようですが、日本産のナチュラルチーズというと、やはりカマンベールや食べやすいセミハードタイプですよね。たしかに、日本人の嗜好にブルーやウオッシュタイプの個性の強いチーズは避けられそうですが、国内チーズ生産量が停滞している中、フランスで経験を積む人が増えて日本各地でその地域特有のチーズ文化が生まれていけば面白いですよね。フランスではすでに数百種類のタイプがあるにもかかわらず、まだ続々と個性あるチーズが生まれています。この事実に日本も負けてられませんよ。もうすぐ、ビールで表皮洗ったチーズがAOPを取るとか、食べてみたい!!





フランス中に広がる
ENILネットワーク
赤点に各学校が。