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コラム - 世界のチーズぶらり旅

フランス中央山塊で生まれた異色のチーズ

(2017年2月1日)

 フランスにマッシフ・サントラル(中央山塊:中央高地とも)と呼ばれる地域がある。中央と呼んではいるが、地図を見ればだいぶ南に片寄っている。この地方は交通が不便でフランスでも過疎化が最も進んだ地方とされ、めぼしい観光地はないから一般の日本人の知名度は低い。かの有名なロックフォールの村から車で北上すると、まもなく2004年に完成した、東京タワーよりも高いという橋脚を持つミヨーの吊り橋が、交通の難所だった渓谷をまたいでいる。その橋を渡り、曲がりくねった山道を進むと、次々に写真のような豊かな緑をまとった山が現れ、そこには牛の群れが放たれている。この地方にはさほど高くはないけど、摺り鉢状の火山がたくさんあって、その山をピイ(puy)と呼んでいる。ヴォルヴィックのラベルに描かれているのがそれである。耕作地は少なく、古くから酪農が営まれていた。冬の高原は雪に覆われてしまうが、草が萌える春になると、冬の間ふもとで過ごした牛達を高地の草地に追い上げ、かつては、男達が高原に作られたビュロンと呼ぶ石造りの小屋で共同生活をしながら秋までチーズを作ってきた。

 それがカンタルと、そこから枝分かれしたライオルとサレールという大型のチーズである。カンタルはフランスで最も古いチーズの一つといわれ、ローマ時代の博物学者プリニウスが「博物誌」の中で言及しているという、重要なチーズなのである。  このチーズがなぜ異色かという話をしょう。アルプス地方などの山岳地帯で作られる、いわゆる山のチーズ、例えばスイスのグリュイエール、フランスのボフォールなどは、みな大きな円盤型をしているが、この中央山塊でつくられるカンタル系のチーズは石臼のように円筒型をしているのである。チーズの形や大きさというのは、その土地の風土や地形、社会の仕組みなどに最も適応したものが生き残ってきた。冬場の重要な食料となる山のチーズは、夏の間、家畜と共に高原を移動しながら作るので、長持ちすることが重要で、運搬にも耐えなければならない。従って固く大型に作られてきたのである。ではなぜ薄い円盤型かというと、これは熟成中表面からすりこむ塩分をより早く均一にチーズの内部に浸透させ、同時に固い表皮を作って細菌などの進入を防ぎ、熟成環境をよくするためである。

 そうした観点から見ればカンタルは山のチーズとしては異色の形をしているといえるのである。表皮も石臼のようにごつごつしていて他の山のチーズとはかなり様子が違っている。品質を保つためには、塩分を浸透しやすい円盤型にするのが常道なのだが、カンタルがこのような形をしているのは、加塩の仕方が他の山のチーズと違っているからである。このチーズはミルクを凝固させて脱水し、ブロック状になったカードを発酵させてから、細かく砕いて塩を混ぜ、円筒形のモールドに入れプレスし成型するという方法をとっている。今ではこのやり方をイギリスのチェダーの製法からとってチェダーリング呼んでいる。ではカンタルはチェダーからその製法を学んだのかといえばそうではない。チェダーの製法が確立されたのは18世紀の終わり頃といわれているから、カンタルは、その千数百年も前から、この地でこのような方法でチーズを作ってきたのである。

 ミヨーの橋から曲がりくねった山道を50kmほど北上するとライオル(Laguiole)村に着く。この村には世界にその名を知られた三つの自慢がある。それはライオル村と同名のチーズとナイフ、そして三つ星レストランのミッシェル・ブラスだ。この村にホテルをとり、まずは近くのライオルチーズの工房へ。先ほど書いたチェダーリングや熟成の工程を見学する。チェダーリングを終え塩を混ぜ込むまえの、できたてのプリプリの白い塊をトムといい、これがこの地方の郷土料理アリゴの材料になる。日本でも知られるようになったこのアリゴという料理は19 世紀の末頃だろうか、はるばる南米からやって来たジャガイモと、このトムが山中の修道院で出会って、巡礼者の食事として作られるようになる。この素朴ながら由緒ある郷土料理を思いがけず三つ星の店、ミッシェル・ブラスで出会うことができたのは、この旅いちばんの僥倖であった。

緑に覆われた中央山塊

緑に覆われた中央山塊

フランス最古のチーズ、カンタル

フランス最古のチーズ、カンタル

生産量が少ない名品ライオル

生産量が少ない名品ライオル

ライオルのチェダーリング

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ミッシェル・ブラスのアリゴ

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