ワインインポーター㈱中島菫商店のご協力により、ワインとチーズの相性を楽しむサロンセミナーが実現します。
フランス、イタリアを中心とした高級ワインを扱う㈱中島菫商店が、夏を迎えるこの時期にフランス、ローヌのワインをご紹介いたします。ローヌの代
コラム - チーズときどき食文化
ジャガイモ物語(1)
(2011年1月4日)
「馬鈴薯の うす紫の花に降る 雨を思へり 都の雨に」
この歌は、若くして世を去った明治の歌人、石川啄木の歌です。彼は21歳のころ職を求めて北海道を放浪していますが、その時の事を思って詠んだ歌でしょう。馬鈴薯とはジャガイモの事。当時の北海道は開拓が始まった時代。開拓民にとってジャガイモは命の綱でした。私も北海道の開拓地で育ったので子供の頃ジャガイモは主食に近く毎日のように食卓に登場しましたが、料理法が確立されていなかったので、大方はゆでジャガに、漬物などの副菜と一緒に食べるのが普通でした。これが続くと嫌になります。だから私はジャガイモには恨みがある。
ジャガイモの花。白いのもある。ジャガイモの原産地はアンデス山脈の高地だから、厳しい自然条件をものともせずよく育ち、これ程世界中の人の命を救った作物は他にありません。
ヨーロッパへ持ち込んだのはスペイン人で、16世紀の中頃といいます。当時は聖書に書かれていない不気味な食物として気味悪がられ一般に普及するのに100年以上かかっています。
ヨーロッパで最初に普及したのは今のドイツで、富国強兵を目指していたプロイセンの王フリードリッヒ2世はジャガイモの栽培を国民に強制します。そのおかげで食糧が安定し人口も増えてドイツ統一の原動力になったともいわれています。
地下鉄Parmentier駅話は全く代わりますが、パリの地下鉄にパルマンティエ(Parmentier)という駅があり、同名の通りもある。これはアントワーヌ・パルマティエという人の名で、彼こそがフランスのジャガイモの恩人なのです。
18世紀の後半、パルマンティエはフランス陸軍の薬剤師として従軍。プロイセンとの戦いで捕虜になってしまいます。捕虜の食事はジャガイモばっかりだったそうですが、彼はそこでジャガイモの食糧としての優秀性に気付きます。当時のフランスは食糧不足に喘いでおり、国はこの状況を打開する方法を懸賞募集します。パルマンティエは早速ジャガイモの普及を掲げて懸賞に当選します。彼が考えたのはドイツとは違い、民衆の好奇心に訴えます。まずジャガイモを王立の菜園に植えて昼間は親衛隊に見張らせて野次馬を集め、夜は見張りを引き揚げさせます。好奇心に駆られた人達は夜陰に乗じてジャガイモを盗んで食べる。また彼は、貴族たちの関心をジャガイモに引き付けるため、ルイ16世や王妃のマリー・アントワネットに、ジャガイモの花束をアクセサリーとして身につけるよう要請します。おかげでジャガイモの花飾りは宮廷で大流行したといいます。
18世紀のフランスでは飢饉が18回も発生し、飢えた民衆の「パンよこせ」のデモがフランス革命につながっていくのです。もしフランスにジャガイモがもう少し早く普及していたら革命は別な形になったかもしれません。
フランスではジャガイモはPomme de terre(大地のリンゴ)といいますが、料理にパルマンティエの名がついていたらジャガイモ料理です。例えばアッシュ・パルマンティエといえばひき肉の上にマッシュポテトをかぶせて焼いたグラタンです。ジャガイモはチーズとの相性がとてもよく、数々の名品が作られています。次回は料理の話をしましょう。
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